障がいを持つ方に寄り添い、就職を支援する仕事。就労移行支援事業所チャオ上尾

チャオ上尾は、障がい者の就労をサポートする障がい者福祉サービスの就労移行支援事業所です。就労移行支援とは、うつや発達障害などさまざまな障がいを抱え、働くことに困難を感じている方への社会復帰や就職を支援すること。チャオ上尾では地域の利用者さん一人ひとりが充実した生活を送るだけでなく、企業でのお仕事にも積極的に取り組めるよう、寄り添ったサポートが行われています。そんなチャオ上尾代表の庄司さんに、支援に対する考え方やスタッフへの想いなど、詳しくお話を伺いました。

障がいのある方への支援に対する、庄司さんの考え方を教えてください。

就労移行支援という私たちの役割は、一人ひとりの方の可能性を信じ、就職という具体的な目標に向かって共に歩んでいくことです。もちろん、お一人おひとりの気持ちに寄り添うことは大切ですが、同時に、就職・自立に繋がらなければ支援の意味がありません。

せっかく通っていただく2年という期間内に、これまでの人生を変える一歩を踏み出せるよう、しっかりとサポートしていきたいと考えています。たとえなかなか就職先が決まらなかったとしても、人と話すことへの苦手意識が少しずつ和らいでいったり、資格を取得できたり、そういった成長の積み重ねが、就職という大きな目標に近づくための道だと信じています。

チャオ上尾では、具体的にどのような支援を行っているのでしょうか?

チャオ上尾では、基本的なビジネスマナー研修だけでなく、利用者さんの性格や適性、ときには「こんな仕事がしてみたい」という希望に合わせて、さまざまな資格取得プログラムを用意しています。資格によっては事業所内で受験ができたり、動画学習とレポート提出のみで取得できるものもあり、チャレンジしやすい環境です。「資格が取れた!」という成功体験は、就職に向けた大きな自信になりますから、しっかりと利用者さんをサポートしてあげたいですね。

就職活動にあたり大切にしているのは、利用者さんの性格や個性をよく理解し、その方に本当に合った仕事を見つけることです。たとえば、「人と接するのは少し苦手」という方には集中して取り組めるデータ入力などの仕事を。「話をするのが好き」という方には接客や受付の仕事などを紹介しています。もちろん「家から近い」というのも大切な条件ですが、それ以上に「やりがいを感じられるか」「長く続けられそうか」という視点を大切にしています。

また、就職活動中は企業見学や実習にも積極的に参加し、実際の職場の雰囲気を肌で感じて欲しいとも考えています。「ここなら自分でも働けそう」という前向きな気持ちが芽生えることで、就職という目標をより具体的にイメージでき、自信を持った一歩が踏み出せるのだと考えています。

ふだんの支援で大切にされていることを教えてください。

たとえば朝きちんと起きて出勤することも、体調が悪い時には事前に連絡を入れることも、社会に出たら当然のことですよね。でも利用者さんの中には、生活リズムが不規則でなかなか朝起きられなかったり、気持ちが落ち込んでいるときは連絡もなく休んでしまったりする方がいらっしゃいます。

そうした方には必ず、「今日は来る予定でしたが、どうしましたか?」と、電話で声をかけています。もちろん心配してということもありますが、一般企業では欠勤時の連絡が当たり前だということを、自然と意識していただくためでもあるのです。このように、ただ仕事に就ければ良いというわけではなく、社会生活を送る上で大切なこともちゃんと身につけて欲しい、そう願っています。

そのため、私たちの仕事は就職が決まれば終わり、というわけではありません。就職後も定期的に企業を訪問し、会社での様子を伺ったり困っていることはないか確認したりしています。時には職場の方々と一緒に、利用者さんにとってより良い職場となるよう話し合うこともあるんですよ。

先日、少し前に就職された方が遊びにきてくれました。笑顔で近況を報告してくれたり、後輩の利用者さんに得意げに話す姿を見たときは、自分たちの仕事の価値といいますか、少しでも役に立てたのかな、と感じることができました。

印象に残っているエピソードはありますか?

つい最近、就職が決まった女性の利用者さんのお話です。就職活動は決して順調とは言えず、5、6社は受けたでしょうか。それでもなかなか決まりませんでした。面接に落ちるたびに「自分には無理なんだ」と落ち込む様子が痛いほどわかり、スタッフみんな、心配していましたね。

それでも彼女は決してあきらめず、がんばって、がんばって準備を重ね、最後はとてもいいかたちで就職が決まったんです。そのときの彼女のよろこぶ顔は、この先も決して忘れることはないでしょう。一人ひとりの就職までの道のりは本当にさまざまです。それでも利用者さんが自分の道を見つけて、前に進んでいく瞬間に立ち会えることこそがこの仕事の醍醐味であり、私たちの励みになっています。

チャオ上尾はどのような経緯で立ち上げられたのでしょうか?

チャオ上尾を立ち上げたきっかけは、主人がご縁のある社会福祉支援研究機構の方から「庄司さんも就労移行支援事業をやってみませんか?」とお声かけいただいたことでした。私はそれまで福祉業界の経験はもちろん、知識もあまりありません。「就労移行支援」という言葉さえ知らない状態でしたので、はじめは少し戸惑いました。

それでもこの事業について調べていくうちに、この仕事のすばらしさに気づいたんです。働きたい気持ちがあるのに一歩踏み出せない方、社会復帰を目指している方、自分らしい働き方を探している方…。そういった方々の想いに寄り添い、一人ひとりの自立をサポートする。この仕事の持つ社会的意義の大きさを知り、心を動かされました。

最初は不安を抱えながらのスタートでした。ちゃんと利用者さんのお役に立てるか、心配でたまらなかったですね。でも、心に決めていたのは、一人ひとりの想いにしっかりと耳を傾けること。その方のペースに合わせて一緒に歩んで行こう、ということです。利用者さんの人生を変える一歩を、たとえ小さくても一緒にお手伝いできたら…そんな想いで、このお仕事を引き受けることに決めました。

まったくの未経験からの挑戦だったのですね。実際に仕事を始められて、どのような不安や課題がありましたか?

そうですね。最初は利用者さんへの接し方や、コミュニケーションの取り方に頭を悩ませました。どんな言葉で話しかければいいのか、どこまで踏み込んで良いのかわからず、“恐る恐る”接していたといっても良いかもしれません。

それでも少しずつ自信が持てるようになってきたのは、チャオ上尾で一緒に働くスタッフのみなさんのおかげです。チャオ上尾にはさまざまなスタッフがいるのですが、中でも福祉の現場で長く働くスタッフは「どんな表情で利用者さんに接しているのか」「どんな言葉を選んでいるのか」「どんなタイミングで声をかけているのか」。そういった細かなところまで、一つひとつじっくりと観察しました。

私は代表として、みんなとは違う、何か特別なことをしなければいけないと思い込んでいましたが、大切なのは「とにかく相手の話をよく聞くこと」だと気づきました。利用者さんのお話に耳を傾け、その方の想いやバックグラウンドを理解しようと本気で向き合うことで、自然とコミュニケーションは生まれていくのです。今思えば、私の不安な気持ちに寄り添ってくれたスタッフたちの支えがあったからこそ、恐れずに利用者さんとコミュニケーションが取れるようになったのだと感じています。

スタッフの方々との関係づくりで心がけていることはありますか?

感謝の気持ちを言葉にすることを心がけています。ドアを開けてもらったり、書類を取ってもらったり、小さなことでも「ありがとうございます」とちゃんと伝えるようにしています。お互いを認め合い、支え合う関係があってこそ、利用者さんへの支援も充実したものになるのだと思います。

日々のミーティングにおいても、そうした意識は大切にしています。チャオ上尾では朝と夕方の2回、全スタッフで話し合っているのですが、「あの時の〇〇さんへの声かけは、とても良かったですね」「つぎはこの部分を意識して接したら、もっと良くなると思います」など、お互いを尊重しつつも率直な意見を言い合える、とても良い関係性だと感じています。

スタッフの方々の自慢をお願いします!

チャオ上尾を支えているのは、利用者さんの小さな変化や成長を、心からよろこべるスタッフたちの存在です。「今日、〇〇さん、自分から挨拶してくれたんですよ!」と、嬉しそうに話すスタッフは私の自慢であり、誇りです。

また、以前、ある利用者さんがたわいもない会話の中で、「10年ぶりに楽しかった」とポツリと話してくれたことがありました。私は思わず「そんなことはないでしょ!」と否定しそうになってしまったのですが、スタッフは「そうだったんですね」と静かに頷いて、じっくりと耳を傾けていました。一人ひとりの背景や想いに寄り添うことの大切さを、スタッフの姿から学ぶ毎日です。

これからチャオ上尾をどんな施設にしていきたいですか?

ただスキルを身に付けていただく施設ではなく、一人ひとりの「やりたいこと」「得意なこと」を一緒に探しながら、本当に合った仕事に就けるよう支援していきたいです。もちろん、人生は仕事がすべてではありません。それでも今の私が実感しているように、自分が本当に楽しいと思える仕事なら、人生は何倍も楽しくなるんです。

また、スタッフにとっても、もっとやりがいを感じられる職場にしたいと思っています。がんばったらがんばった分だけ給与や賞与に反映させる仕組みもありますし、みんなが楽しく前向きに働ける、そんな職場を目指しています。

「地元埼玉に戻って働きたい」「就労移行支援の仕事に興味がある」そんな方へ向け、メッセージをお願いします。

私自身、まったくの未経験からのスタートでしたので最初は不安でいっぱいでしたが、今では就労移行支援という仕事のすばらしさを実感しています。この仕事は一人ひとりの可能性を信じ、その方の人生に寄り添い、そして新たなスタートに立ち会える、とても立派な仕事です。

私も以前は都内で働いていましたが、「埼玉で働く」という選択をして良かったなと感じています。顔が見える距離感で落ち着いて仕事ができる埼玉は、実は魅力的な場所だと思うのです。今現在、東京で福祉の仕事をされている方も、地元埼玉での就労移行支援という選択肢を、ぜひ考えていただけたらと思います。

編集後記

「チャオ!」とは、出会った時にも別れ際にも使われる、イタリア語のあいさつのこと。事業所の名前にもなっている通り、あいさつから始まるコミュニケーションや、人と人とのつながりを、みなさんとても大事にしているとのことでした。

今回のインタビューを通して知った、就労移行支援という仕事。働きたい気持ちはあるのに、なかなか一歩が踏み出せない方の背中を、こんなに優しく、真摯に後押ししている庄司さんの想いに触れ、なんだか温かい気持ちになりました。チャオ上尾さんのような支援の場所が、もっともっと増えていってほしいな、そんなことを考えながら取材を終えました。

インタビュー・執筆:
清水海斗
撮影:
岡田健太
Produce:
ティラノ・クリエイティブ・アーツ株式会社

この記事について

想いについての記事 障がいを持つ方に寄り添い、就職を支援する仕事。就労移行支援事業所チャオ上尾
社名
就労移行支援チャオ上尾
業種
  • 福祉
職種
  • 生活支援員

会社紹介

会社のイメージ

就労移行支援チャオ上尾

チャオ上尾は利用者さんが楽しく元気に通える事業所を目指しています。チャオはイタリア語の挨拶ですが、出会った時にチャオ!別れる時にもチャオ!と挨拶します。そんな風に来ていただいた利用者さんを笑顔で迎え入れ、チャオ上尾で元気になってもらい、ご自分に合った就職先へ笑顔で送り出す、そんな事業所にしたいのです。

所在地
埼玉県上尾市上町1丁目-5-5 青木ビル3F
ホームページ
https://www.ciao-ageo.com/

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